1 業務命令の有効性
(1)労働契約の範囲内か否か
(2)権限濫用でないか否か
2 肯定例
※ 以下の場合に諸事情に照らし、その業務命令に違反した懲戒処分を有効とした判例。
(1)3ヶ月の応援命令→9日間の出勤停止(静岡地裁判決昭和46年8月31日)
(2)大阪から東北・北海道への12日間の出張命令で、本人の了解が得られるように誠実に対応した→懲戒解雇(大阪地裁判決昭和62年5月25日)
(3)自らの手抜き作業による残業命令→過去3回の処分歴などともあわせて懲戒解雇(最高裁判決平成3年11月28日)
(4)バス乗務員の制服・制帽着用命令→減給処分(横浜地裁判決平成6年9月27日)
(5)社外秘の情報や会社を批判した文書をホームページ上で公開していたことから、そのホームページの閉鎖を命じたもの→出勤停止(東京高裁判決平成14年9月4日)
3 否定例
(1)精神修養のための講習会で伊勢神宮参拝を命じたもの(名古屋地裁判決昭和38年4月26日)
(2)時間外安全教育への出席受講命令→懲戒解雇(横浜地裁川崎支部判決昭和43年3月7日)
(3)所持品検査→懲戒解雇(横浜地裁川崎支部判決昭和50年3月3日)
(4)無断遅刻についての始末書提出命令→懲戒解雇(名古屋地裁決定昭和53年9月29日)
(5)お茶くみ命令→解雇(浦和地裁決定平成8年3月29日)
(6)選挙演説を聞くよう命じたもの(大阪地裁判決平成11年8月20日)
(7)女装等禁止命令→懲戒解雇(性同一性障害者解雇事件、東京地裁決定平成14年6月20日)