第12 労働者に対する損害賠償請求
労働者の行為により、使用者が使用者責任(民法715条1項)として損害賠償を支払った場合に、使用者に求償できるか。
→ 使用者の指揮命令に基づいて労務を提供し、労働者の労働によって使用者が利益を受けていることを考慮して、信義則に基づく責任制限の法理によって、労働者の負担割合は大幅に軽減されている。
使用者側の管理体制としての判断要素として、
@過失等が起きないように十分な事前報告や教育、日常的な点検・検査・確認をしたか否か、
A過失等を予想して任意保険に加入していたか、あるいは加入しておくべきであったか否か、
B長時間労働や深夜労働等の過重な労働によって過失等が発生したといえるか否か、
などが考慮される。
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
(1)期間(同法2条)
定めがあっても5年以内でなくてはならない。
なければ3年。
(2)自動更新禁止。期間満了後、都度契約の必要あり(東京地裁判決昭和45年2月3日)。
(3)会社は、業務上不適任と考えたり、転勤で勤務内容を大きく変更した身元保証人の責任が加重される場合などは、身元保証人に対し、そのことを報告・通知しなくてはならない(同法3条)。
→ この場合、身元保証人は、将来にむかって解除することができる。
(4)責任及び金額の決定(同法5条)
@会社側の過失の有無、A身元保証に至った事由、B会社の注意の程度、C任務・身上の変化など一切の事情を総合的に考慮する。